台風接近の折、今日の天気は大荒れ。
雨降る夜に傘も差さないで、私は一人走っていた。
傘を買うお金は、確かに財布に入ってなかったけど、だけど傘を忘れてきたわけじゃない。
ただ、君をあんなにも簡単に奪われた自分が許せなかっただけ・・・。

君を奪ったやつのように、私も他の人から奪うこともできた。
だけど出来なかった。
それをしてしまえば、きっと私と同じ境遇の人間が増えるだけ・・・。
いや、カッコつけるのは止そう。
勇気がなかっただけなんだ。

今頃君は、君を奪って行った奴に抱かれ、君は君に出来る精一杯の奉仕をやつにしてるんだろうか。
私は君を恨みはしない。
恨むべきは、奪った奴?
いいや、やすやすと君を奪われるハメになった愚かな自分だ。

さようなら、縁があったらまた会いましょう。
私の傘。

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